「母」

ストーリー

秋田県釈迦内村、小作農と小さなそば屋で生計を立てる貧しい家の娘にセキは生まれた。
当時の小作人は、地主に50%もの地代を払わねばならなかった。貧しい農家の娘たちは身売りするより仕方がない。セキの幼なじみの少女も売られていった。
学校へ行きたくても、学校は男の行くところだと親からは相手にされない。
15歳で小林の家に嫁いだセキは三男三女を生み育てたが、長男は病死。次男が多喜二である。セキは優しい母親であった。自分は字も書けなかったが、多喜二は叔父の世話で小樽高商(現小樽商科大学)まで卒業させてもらい、銀行に勤める。
当時の銀行は大変な高給で、一生涯楽に暮らせる程であった。しかし多喜二は貧しい人の味方となって小説を書き、武器を作るお金で皆に白い米のご飯を!と反戦を訴え続けた。
そんな彼の小説は危険思想とみなされ、遂に多喜二は国家権力によって殺されてしまう。
セキは自分の息子が悪い事なぞするわけがないと多喜二を信じ続けていた。
そんな折、娘のチマに教会へと誘われる。そこでイエスの死について話を聞かされたセキは、何も悪い事をしていないのに殺されたイエスと多喜二の姿を重ね合わせ、 思いを巡らす・・・。

制作意図

この度、三浦綾子原作の「母 小林多喜二の母の物語」を映画化致します。前作「望郷の鐘満蒙開拓団の落日」同様に、この映画も戦争反対・平和映画です。平和を愛する皆様、この映画にご協力、ご賛同していただけましたら有難く感謝です。戦前のように母から子供を奪うような時代にならない事を願いこの映画を作ります。秘密保護法の次は、治安維持法などをひかれない世の中である為にも、多喜二のお母さんの受けた悲しみ苦しみを映画で見てほしい。私は13歳まで空襲で焼け出される経験をしました、何一つ残らず乞食同様になり母の郷里の田舎に行き、食べるものもなく酷い思いをしました。兵隊に一人息子をとられ戦死したお母さんの狂った姿なども見ました。母を苦しませない事は、子供を戦場におくらない事です。 全国のお母さんにこの映画を届けたい。そして、母が手をつなぎ、二度と多喜二の母を作るような世の中をつくらないでほしい。この戦争で沢山の優秀な人材を失ったのではないでしょうか。多喜二も生きていたら、多くの素晴らしい本を書いた事でしょう。 私は、この作品を映画化し、少しでも多くの人たちに、「平和」の尊さを強くアピールしたいと思います。二度と多喜二の母を作らないで下さい。